マルファン症候群と白内障手術(強膜内固定術)

〜チン氏帯の緩みがあるときの工夫〜
マルファン症候群の方は、散瞳検査(瞳を広げる検査)をすると、
水晶体を支える「チン氏帯(チンし帯)」が外れていることがあります。
レンズの中心がずれているため不正乱視を起こし、かなり見えにくい状態になりますが、
徐々に進行するので、本人はあまり視力低下の自覚に乏しいのが特徴です。
以前は、白内障手術のときに
• 無理に水晶体の袋(水晶体嚢)に穴を開ける(CCC)
• カプセルテンションリングで袋を広げる
といった方法で手術をしていました。
今は無理に通常の手技をせず、
硝子体手術+眼内レンズの強膜内固定 を選ぶことにしています。
この方法により、術後の乱視も改善し、
この症例の方にも「とても見やすくなった」と喜んでいただけました。
当院では、通常の白内障だけでなく、
このようなチン氏帯の弱い方には強膜内固定の手技も行っています。
何かあればまたご相談ください
大津市堅田 ひの眼科クリニック 院長 樋野泰一